暦では冬の真ん中だ。
まだ早いにしても、ほぼ冬至と言える。
最も日が短く最も夜が長い。
真冬ということになる。
なるのだが、長い長い冬はこれから始まるのだ。
そこには現代のコヨミとは感覚的にズレがある。
そう思うと冬ってヤツは『季節』より少し遅れてやってくるのだ。
そして本格的な寒さは得体の知れない不安と孤独を引き連れて、足音もなくじわじわ忍びよってくる。
なにか、
黄泉の国みたいな所から、、
イチョウの落ち葉があざやかな黄色で午前中の歩道をおおいつくしていた。
前を歩く中年のカップルもイエローに染まるイチョウ並木の散歩を楽しんでいるようだ。
そんなのどかな風景を破るかのように、そいつは駐車場からいきなり飛び出してきた。
目を見張り息を飲むようなあざやかさだ。
正直、危ないと思うよりも先にオレはその黄色い物体とイチョウ並木とのあざやかなコントラストに見とれてしまった。
ふいのことで、中年のカップルは驚いて小走りになる。
ポルシェカレラだ。
低いエンジン音を立てて走り去った。
なんて野郎だ。
しかしオレの視線はその懐かしいフォルムに釘付けになる。
そう、昔の女を思い出すように。
ポルシェカレラ。
わたしも昔、同色のポルシェカレラを持っていた。
スーパーカー消しゴムだが。
リュウスケ
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