2011年4月12日火曜日

通りすがり


目黒川のほとりには、時折吹く春風に千切られた桜の花弁が、ひと所のみなもに流れついている

まるで雪景色と見まがうほどめ目を見張る鮮やかさだ


白鷺のつがいが浅瀬に立ってる

北国へ飛来した越冬鶴の映像を思い出した


中目黒は花見シーズンだと言うのに、例年に比べてかなり人通りは少い

それでも、数組の若者の花見グループが集まってるのが見られた

しかしながら、彼らの表情はなんだか申し訳なさそうで、老人の集団と言ったら誤解を招くが、悲壮感に沈んで若さがないのだ

ナニに申し訳ないのだろう


僕は中目黒を通り過ぎて、用事を済ますべく蛇崩の方まで歩いた

坂道でセーターを脱いだり路地裏に迷い混んだり、わりとする事があった


用事を済ませた帰り
初めて来た通りすがりの街にもかかわらず、稲荷で手を合わせ、脱いだセーターをまた着て、煙草屋で軽口を叩き、ぶらぶらと、そして、ちゃらちゃらとささやかな自由を楽しんだ

しかし、自由って奴は短いのだ

妖しげな暗雲が立ち込めたかと思うと激しい雨にいきなり襲われたのだ

八百屋のおっちゃんが店先へ躍り出て、通り雨だーと叫ぶ
通りの二階でおばちゃんが洗濯物を取り込む

僕はずぶ濡れになって近くのコンビニへ逃れた
ホウホウノテイ、だ


オロナミンC 飲みながらコンビニの軒下で雨宿りをしていると、旅情のようなものを覚えたりした

遠くの空は明るいのだ
急ぎはしない

なんとも言えない素敵な瞬間を楽しもう、楽しもう

道路を叩く雨音は高い

小学生の男子が1人、僕の隣に飛び込んで来て、同じ空を見上げている


ああ、花見のグループたちもどこかの軒先に散らばって、怒りとも諦めともつかない表情で空を見上げてるんだろうか

この時ばかりは若々しくなってるんではないか

などと考えた


昨夜は新宿ウルガでliveパーティーだった
久々に会った連中は相変わらず若かった


ナガトミリュウスケ


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